医療法人化における税額比較2009年版(DSS:会計)
医療法人化にする場合には税金に関する比較について検討することが多い。法人化のメリットはその他には退職金準備の保険に加入することがよく提案される。今回ここでは税金に絞って検討してみたい。(2009年版)
設定は家族三人(妻:子供1人)として税額の計算をしてみることとする。基本的な控除以外はすべてなしと考えた場合の比較表を作成しました。これはあくまでも目安ですので詳細はそれぞれの担当税理士ご相談ください。
1:個人経営(専従者給与なし)扶養2名 「概算」
所得金額/税金 |
所得税 |
住民税 |
合 計 |
2,000万円 |
4,748,000円 |
1,901,000円 |
6,649,000円 |
2,500万円 |
6,748,000円 |
2,401,000円 |
9,149,000円 |
3,000万円 |
8,748,000円 |
2,901,000円 |
11,149,000円 |
3,500万円 |
10,748,000円 |
3,401,000円 |
14,149,000円 |
4,000万円 |
12,748,000円 |
3,901,000円 |
16,649,000円 |
2:個人経営(専従者給与あり)扶養1名 「概算」
本人/専従者(所得) |
所得税(本人) |
所得税(専従) |
住民税(本人) |
住民税(専従) |
合 計 |
2,000/500万円 |
4,900,000円 |
210,500円 |
1,938,000円 |
313,000円 |
7,361,500円 |
2,500/500万円 |
6,900,000円 |
210,500円 |
2,438,000円 |
313,000円 |
9,861,500円 |
3,000/500万円 |
8,900,000円 |
210,500円 |
2,938,000円 |
313,000円 |
12,361,500円 |
3,500/500万円 |
10,900,000円 |
210,500円 |
3,438,000円 |
313,000円 |
14,861,500円 |
専従者給与税額目安表
給与/税金 |
所得税 |
住民税 |
合計 |
400万円 |
130,500円 |
233,000円 |
363,500円 |
500万円 |
210,500円 |
313,000円 |
523,500円 |
600万円 |
348,500円 |
393,000円 |
741,500円 |
700万円 |
516,500円 |
477,000円 |
993,500円 |
800万円 |
696,500円 |
567,000円 |
1,263,500円 |
専従者給与があるかないかでは合計所得が2500万円から4000万円の間では税額は約178万の差があることがわかる。よって専従者給与が業務内容から多く認められる場合にはさらに差額が増えることとなる。
3:医療法人 法人所得:給与(2人扶養) 「概算」 ※法人税のみ事業税や地方税含まず
法人/役員報酬 (合計) |
法人税 |
所得税 |
住民税 |
合 計 |
500/2,000万円 |
1,100,000円 |
3,796,800円 |
1,631,000円 |
6,527,800円 |
500/2,500万円 |
1,100,000円 |
5,568,000円 |
2,110,000円 |
8,778,000円 |
1,000/2,000万円 |
2,360,000円 |
3,796,800円 |
1,631,000円 |
7,787,800円 |
1,000/2,500万円 |
2,360,000円 |
5,568,000円 |
2,110,000円 |
10,003,800円 |
1,500/2,000万円 |
3,860,000円 |
3,796,800円 |
1,631,000円 |
9,287,800円 |
500/3,500万円 |
1,100,000円 |
9,368,000円 |
3,060,000円 |
13,528,000円 |
1,000/3,000万円 |
2,360,000円 |
7,468,000円 |
2,581,000円 |
12,409,000円 |
1,500/2,500万円 |
3,860,000円 |
5,568,000円 |
2,110,000円 |
11,538,000円 |
2,000/2,000万円 |
5,360,000円 |
3,796,800円 |
1,631,000円 |
10,759,000円 |
4:医療法人(理事報酬(妻)あり) (扶養1人)「概算」※法人税は事業税及び地方税等は含まず
法人/役員報酬/理事(妻) |
法人税 |
所得税 |
住民税 |
所得・住民税(妻) |
合 計 |
500/1,500/500万円 |
1,100,000円 |
2,354,700円 |
1,193,000円 |
523,500円 |
5,171,200円 |
500/2,000/500万円 |
1,100,000円 |
3,922,200円 |
1,668,000円 |
523,500円 |
7,213,700円 |
1,000/1,500/500万円 |
2,360,000円 |
2,354,700円 |
1,193,000円 |
523,500円 |
6,431,200円 |
500/2,500/500万円 |
1,100,000円 |
5,720,000円 |
2,143,000円 |
523,500円 |
9,486,500円 |
1,000/2,000/500万円 |
2,360,000円 |
3,922,200円 |
1,668,000円 |
523,500円 |
8,473,700円 |
1,000/2,500/500万円 |
2,360,000円 |
5,720,000円 |
2,143,000円 |
523,500円 |
10,746,500円 |
1,500/1,500/500万円 |
3,860,000円 |
2,354,700円 |
1,193,000円 |
523,500円 |
7,931,200円 |
5.総所得3500万円としての比較 「概算税額は上記1-4を参考にしてあります。」
内 容 |
概算税額 |
所得内訳 |
個人事業 |
14,149,000円 |
事業所得3,500万円 |
個人/専従者 |
12,361,000円 |
事業所得3,000万円:専従者500万円 |
法人事業/役員報酬 |
10,003,800円 |
法人所得1,000万円:役員報酬2,500万円 |
法人/役員報酬/理事(妻) |
8,473,700円 |
法人所得1,000万円:役員報酬2,000万円理事500万円 |
このように税額に差があることがわかる。その他の要因も大きく左右するため税理士に相談の上医療法人化の検討をしなければならない。単純に保険加入目的(退職金)の医療法人化には慎重な対応が必要である。
借入金返済などがある場合には法人でもある一定の所得を出すことが必要となるため法人所得は1000万を基本として理事長報酬や理事(妻)の報酬を決定するのが基本であると考えられる。