リニューアル記事「クリニック事務長事件簿 患者クレーム編 パート2」(DSS:トラブル)
【クリニック事務長事件簿:患者クレーム編 パート2】
患者さんの父親とクリニックで待ち合わせをし、近くのファミレスにて話をすることとなった。50代前半であり、父親は建築に関係する職人であった。患者Cさんの状況を聞くと仕事にもいけないまま自宅で休んでいるという。「一度お会いしてお話できませんか」と聞いてみると「今は無理だ」との返事。
クレーム内容は、変わった鍼灸師の治療効果はなく、逆に悪くなった。そこに原因が一つある。またその状況を院長が把握せずそのまま放置にしていた。だから現在仕事もできない状況となっている。今後も仕事に就けない可能性もあるので補償して欲しい。ということである。また前回院長と交渉した時に院長の顔の変化と頭を下げたので「これはクリニック側に何か問題があると思っている」と答えたのである。
父親の話が終わったところで「具体的な要求はなんでしょうか」と聞くと「治療費及び慰謝料含めて1億5千万円欲しい。」要求があった。とんでもない要求額にびっくりし、「この根拠はなんですか」と聞いたところ、「院長にクリニックの収入を聞いた。その金額なら払えるだろう」というのである。これは、「とにかくいくらかにでもお金にしようということだな」と考え「要求については理解しました。こちらから再度1週間以内に連絡します。」といって話合いを終えた。
クリニック側から判断すると全く医療ミスや治療ミスがあったとは考えられない内容にもかかわらず、このような患者側の対応はただのゆすり、たかりの類であるが当初、患者と院長があった時に強気に出れるような雰囲気や態度が見られたことと、治療が鍼灸師によって実施されている部分もあり、治療経過や状況把握が不足していたことも原因ではないかと考えられた。しかし、とんでもない家族クレーマーに出会ったものであると思わざろうえなかった。
1億5千万円という要求はをすること自体が不自然でなんでもありの人だと予測できた。慎重な対応が必要であるとともにとにかく患者側の考えを上手く方向転換させる方向はないかと考えた。
そしてまず医師会に医事紛争担当に相談、カルテ等一式をを提出。また以前、別の案件で紹介されていた医師会の医事紛争弁護士に相談。まず、内容的に問題があるのかどうかあらかじめ判断してもらうこととした。その結果、医療機関側に全く問題ないという医事紛争担当の判断を得たので患者側に下記の提案をした。
「第三者機関に判断してもらって問題があるようだとしたら保険に加入しているのでクリニック側もその結果に応じた補償をすることになります。」「よって医事紛争委員会に書類を提出し判断してもらいましょう。」と持ちかけた。
患者さん側は、当初は当然良い返事はしなかったが、少なくとも少しはお金が取れるだろうと判断したのか数回の交渉で了解を得られた。そして当方の思惑どうりに医師会の医事紛争委員会に結果を委ねることとなった。
パート3へ続く