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「クリニック事務長事件簿 院長逮捕編 パート2」(DSS:トラブル)

[2011.05.01]

クリニック事務長事件簿:院長逮捕編 パート2

経営も順調であった。歯科衛生士と院長は、開業して2年半後に結婚。患者さんの評判は悪くない。しかし、相変わらず職員の入れ替わりは、なくならないでいた。

丸3年が経過した年の秋に突然携帯電話が鳴った。院長である。「今、警察がきていて医師法違反の疑いで捜査を始めた。いったいどう対応すればよいか。」とのことであった。当然、このようなケースは初めてである。電話内容を聞いた時点でこちらも気が動転している。一体どういうことなのだが全く見当もつかない。いやあこんなこともあるんだなと思うが展開の予想ができないためとんでもないことになったという思いやオーナーやメディカルモールの医師に迷惑をかけてしまうことも心配になった。

とにかく何か指示をしなくてはならない。「容疑はなんですか」と聞いたところ「家内(歯科衛生士)の医師法違反」と院長の「医師法違反に対する幇助?」というような内容である。「先生心当たりはあるのですか?」と聞くと「全く心当たりはないですよ!」「何故こんなことになるのか訳がわからない。何か方法はないですか」との返事。「とにかく御両親に連絡とって下さい。私の連絡先も教えて電話をするように伝えてください」と話した。

我々も内容については具体的に想像がつかないし、理解できないでいた。後ほど弁護士より歯科衛生士が医師の領域となる治療行為をしているという容疑と、夫である院長がその行為を認めていたという容疑である。そして「患者さんは帰して臨時休業とし、とにかく容疑については否認してください。至急弁護士を探しますので待って下さい。」「必ず連絡しますから!」と返事し電話を切った。

とにかく我々もあわてた。以前から知っている弁護士事務所に連絡するもこんな時に限って留守である。事務員に事情を話して連絡を取ってもらうことになったが、その弁護士と連絡が取れたのは、夜でありO弁護士に依頼した後であった。

結局、数か所あたっていく中で、以前に医療訴訟の経験や刑事事件弁護の経験のあるO弁護士に相談が可能になり急遽事務所に伺って事情を説明。内容を理解していただきとりあえず院長の携帯に連絡してもらうことになった。

捜査は、午前から午後にまで及んだ。我々は、弁護士が手配できた状況を院長に連絡、O弁護士で良いか同意を求め、同意が取れたので担当の刑事と弁護士とやり取りしてもらった。しかし、その場で容疑については当然晴らすことができず当初の容疑で逮捕され、警察署へ連行される結果となった。

警察はマスコミにも連絡を取っていたようで、テレビ局と新聞者がきていた。テレビ局は、何故か?手際よく患者にインタビュー、その様子が当日放送され翌日には、スポーツ紙1社に顔写真入りで歯科衛生士逮捕という記事が掲載された。

O弁護士と今後の対応について話し合うため院長夫妻の両親と連絡を取り合い弁護士事務所で協議するとともに、院長夫妻が逮捕されているので職員に対する対応を我々で行うことを確認した。逮捕された以上我々ができることは診療所の今後の対応しかない。職員には自宅待機とし歯科医院は当然臨時休診した。職員も容疑の裏付けを取るように事情聴取を受けており、今後も事情聴取があると刑事から伝えられていた。とにかく考えられないような一日であった。

弁護士知っていることは重要である。しかし、我々ベースでは顧問契約するといっても医療訴訟や契約書等の総合的なアドバイスを得るためであり、今回のような逮捕等の刑事事件までは当然想定していない。また、今回のように一人しか知らない場合には連絡が取れなかったりいろんことが起きるのでやはり複数の弁護士を知っておく重要性を感じた。

パート3に続く

 

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