リニューアル記事【クリニック事務長事件簿 職員トラブル パート2】(DSS:トラブル)
【クリニック事務長事件簿:職員トラブル パート2】
適任の弁護士を探すことは大変である。院長に聞いても親しい弁護士をしらない。
また税理士や保険会社の担当者に聞いてみるが当然労働問題に詳しいという
弁護士事務所はなかなか見つからなかった。また弁護士を利用したというケースも
医療機関では、医療問題に関すること以外については当然診療所単位では
少ないのが当然といえる。
結局その中でも詳しいといわれる弁護士事務所に保険会社の担当者の紹介で
相談に行くことになった。
弁護士が5、6人いる事務所であり私たちの目から見ると立派な事務所に見える。
M弁護士と会った。とりあえず内容を聞く前にまず最初に質問されたことが
「クリニックの収入はどれくらいあるのですか?」という質問である。
内心なんでトラブルの内容ではなくそのようなことを聞くのだろうと考えたが
「年間売り上げが1億5千万くらいです。」と答えると
「そうですか、病院ではないんですね」と再度聞かれ
「診療所です。」と返事をすると「ふーん、わかりました。」といって内線で
「T先生いる?こっちまで来てくれる?」といって受話器を切った。
するとT先生が相談室に入ってきた。そして紹介された。
そしてM弁護士は「T先生、一緒に話を聞いて君が担当して」というと
トラブルの内容について話すように促され、経緯を説明した。
するとM弁護士は「T先生、後は頼んだからね」と話、私には「よく相談してください」
と言って部屋を出て行った。
T先生は弁護士になって3年目であり、20代!見た目も若く如何にも頼りがいなく
見えてしまう。当然交渉時に立ち会ってもらえるものだと思っていた私は、
「当日来ていただけるんですか?」と聞くと「いや、まずは相手の主張を聞いてその後
その内容を電話で連絡ください」とのこと。当然立ち会って交渉状況を確認された上で
アドバイスをいただけるものだと思っていた私はがっかりしたが
何分弁護士に相談をお願いするするのは初めてだったので、「こういう風なものなのかな」
と思いつつも「全く頼りにならないかもしれない」とも考え、「なにかあればM弁護士が処理して
くれるはずだ」と勝手に確信しながら1回目の相談は終了した。
1回目の相談については紹介者もいたことで1時間であったが無料相談ということになった。
当然2回目以降も相談すると思っていたので費用については状況によると考え聞かなかった。
後ほどわかることだが、弁護士事務所も当然収益を上げなければ維持できない。
相手の収入を最初に聞くのも初めての我々には失礼に聞こえるが当然なのかもしれない。
よって大きな問題でない内容や収入にならないと想像される相談内容については
なかなか本気になって対処してもらえないこともあるということがわかる。
成功報酬としても相手からの要求が低い金額であれば時間単位で考えると効率は悪くなる。
ましてや顧問契約などしていなければ時間を割いてはくれない。
世の中タイムイズマネーなのだ。
そして交渉当日、ユニオン側は、委員長、副委員長、当事者の3名で来院、
会議室の案内、こちら側は事務長と私と2名で対応することとなった。
イメージ的に赤い旗を持った人でも5-6人来るかと予想していたがそのような
ことはなく静かに交渉は始まった。
当然ユニオン側は一方的にF鍼灸師の内容を聞いてきているだけなので
話は、Fさんの都合のよい話となっていることが想像された。
委員長が開口一番「今回の退職勧奨については不当解雇と言える。」
「よって解雇無効であるので職場復帰を求める。」と要求を突き付けた。
続けて「解雇理由を明確に提示すること」を要求。
その上、「このような状況で職場復帰できたとしても今後気持ち良く働けない
可能性が高いとFさんは考えているので、要求として解雇手当1ヶ月分と
有給のに未消化分2年分、及び精神的苦痛による慰謝料として
200万円を支払って欲しい。」と説明してきた。
当然クリニック側としては要求は飲めない。また針の抜き忘れの件や患者さんとの
言い争い等患者とのトラブルも数件発生し、穏便に処理している。
感謝されてもこのようなとんでもない要求をのめるはずもない!
委員長に対して「その要求はのめない。ましては患者さんとのトラブルも何回もある。」
「クリニック側に迷惑をかけている部分もあるので慰謝料なんてとんでもない。」
こちらとしては「解雇予告手当は当然支払うがそれ意外の要求は受け入れられない」
と回答した。
すると委員長は、「そのトラブルはいつ起きたのか、何か書類や証明するものがあるのか」
という。実際は準備はしていなかったが、当然退職勧奨の理由が針の抜き割れだった
ので「証明できる。」返事をする。また他のトラブル事例を出して退職勧奨に関する理由は、
他にもあると主張、お互いに平行線のまま、ユニオン側の時間切れで次回については
副委員長と連絡取りあって決めることを約束し初回の交渉は終った。
パート3に続く