「覆面調査」に接遇の原点を考える (DSS:運営)
【クリニック覆面調査に接遇の原点を考える】
某美容整形外科より接遇についての覆面調査の依頼があった。メジャーな医療機関とも なるとさすがに意識が高いのだな…と半ば感心しながら期待もあり調査をスタートさせた。 まずは、電話での問い合わせからである。 ここで拍子抜けする。事前の内部リサーチでは「うちは顧客にセレブが多いので上質な対応 を心がけなければならない。」 との事だったのでそれなりの対応を期待していたが、志 とは裏腹に残念ながら現場の電話応対は上質にほど遠いと言わざるを得ない内容。 敬語は使っているが、品もなければ、無機質で感情の入ってない声音。 マニュアルでも読めんでいるのか一方的な営業トークをいきなり展開される。 これが敬語でなくため口だあればまるで渋谷の若者向けのアパレル店の呼び込みと何ら の変わりはない。この時点で非常に不愉快になり、一瞬仕事を忘れて、黙って電話を切 り、他院へ乗り換えたくなったが(実際、そうする利用者が多いと予想される)今回は、 覆面調査という仕事なのでそうもいかず、ニーズがあって、調査依頼があるのだから有難 いではないかと気を取り直して予約を入れる。 電話での応対は声だけの対応になるので、対面しての応対よりハードルが極めて高くな るということは意外に意識されていないのが実情である。 つまり、表情やジェスチャーや態度でカバーできないので、言葉に全てを託さなければならな くなるからだ。 企業によって電話応対に特化した研修を何週間も行っているところもあるが、もっとも なことである。 さて予約当日の朝、ネガティブな第一印象を引き摺りながら期待はせず、クリニックへ。 まずは担当者からカウンセリングを受ける。 「美容」が専門であってもこれが医療の現場で許される身だしなみだろうかと目を疑う。 肩にかかる長い髪は茶色く染まり、目にかかる前髪を掻き揚げる仕草で爪も同様で あることに気付く。どこかのグラビアページにも登場しそうな魅力的なその雰囲気にここが クリニックであることをしばし忘れてしまう。水商売(実際医療機関は水商売的要素がある のだが)と言われても誰も疑わないだろう。当然第2関門でも及第点には遠く及ばない。 この時点でさらに他院へ行こうと思う人数は増える事が予想される。 何も不満・不信や不安を抱えながら通院する必要は全くないからだ。 ペン先で一方的に資料の説明を受ける。こちらの反応はおかまいなしに強引にクロージン グへともっていこうとするので、おそらく患者さんの具体的なニーズも把握できないままに 医師にバトンタッチすることになるだろう。 コミュニケーション・スキルが欠落している。 そしていよいよ最後の関門診察室へ。 顧客サービスについて高い志を雄弁に語ってくださった経営陣のせめてもの名誉挽回 が待ち受けていることを期待しながら・・・・・・・ パート2へ続く |