クリニック事務長事件簿:退職に対する夫からの嫌がらせ?電話 パート1(DSS:退職トラブル)
【クリニック事務長事件簿:退職願に対する夫からの嫌がらせ?電話】
駅から徒歩3分の商店街にある開院して4年目の内科クリニックである。患者数も安定していて忙しい時は70名を超える。
職員は、看護師常勤1名(45歳)非常勤1名(42歳)、事務員常勤1名(26歳)、非常勤1名(43歳)で家族的な雰囲気で診療を行っている。弊社の担当者が看護師Aさんが「院長先生が事務員Dさんばかり可愛がっている。」と文句を言っているという。担当者から「話を聞いてあげて欲しい。」と依頼があったのでガス抜きも含めて話を聞いてみた。
看護師Aさんの話は、Dさんの事よりも「給与(時給)がもう少し上がらないか」等給与に関する内容が中心であり、「主人も定年になるから簡単には辞めれない」「院長先生とはうまく付き合っていかなければ」などと話し意外に落ち着いていた。待遇改善については、5時以降の勤務時間について時給を再検討(アップ)とすることと、残業申請方法については、30分単位ではなく15分単位にする方向で 院長先生と話うと言うことを約束して話は終わった。
Aさんのみ話を聞くのは変なので、事務員Dさんとも話合いをした。Aさんと同じく、残業申請を30分単位ではなく15分単位として欲しい、もう一人遅番を出来る方を増員して欲しいという二つ要望であった。少ない人数で頑張ってきたことも事実である。これは内容を上手く受け入れて
あげなければ退職する可能性があると予想された。話合い結果を、早速院長先生と検討、快く二人の要望をとい入れることを了承 してもらった。担当者に来月より時給や人員体制を増員するという内容を両名に伝えてもらい、これで当分の間は落ち着くものと考えていた。その話から2週間後、突然院長から連絡があり、「看護師Aさんから退職願が出た。後3週間しかないのでどうしようか。」と相談があった。退職理由は、両親の看病が理由である。
話していた雰囲気を考えると全く予想できない展開である。そして事務員Dさんが看護師Aさんとパート事務員のBさんとのやり取りを聞いていて、「次のところは昼休み帰れるの?」など話していたと言うのである。
他のところへ就職するのは本人の意思であるからそのこと自体には文句のつけようがないが、退職する時くらいはせめて1ヵ月以上の猶予は欲しい。医療機関に従事する者として最低でも守らなければならないルールと考える。 確かに労働基準法でいえば2週間以上前に退職願をすれば特に問題はないのだが、3年以上も勤務し、特にお互いに大きな問題もないのであれば、看護師の募集は大変なのが予想されるのだから 通常はせめて1ヵ月前に退職願を提出することが常識の線であり退職時のトラブルを最低限防ぐ線だとも考える。院長もその点を強調する。
どうも理由も次の職場との関係がありそうであると考え本人に電話で交渉する事にした。まず、引き留めたが全くその意思はない。次には、退職することについては問題ないが少なくとも1ヵ月という時間が欲しい。よって「お互いの為にもあと6日間退職日を延ばせば1ヵ月になるので考えてもらえないか」と聞いてみた。「どうしても無理なら当初の予定通りで良いですよ」と付け加えた。「基本的には難しいが、その程度でよければ分かりました」と言う返事であった。これで基本的なトラブルは避けられると思った。
「一応院長先生に話してみるけど当初の通りで良いという可能性もあるので当初の通りになるかもしれないですよ。」と話すと今度は6日の内の「翌月の1.2日に当たる日は休ませて欲しい」という。「今、分かりましたと言ったんじゃないの、又変えるの?」と言うと「じゃあわかりました」 と折れた。
これでお互いに円満に退職できる方向へ進んだと考えた。