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複合ビルでの避難経路対策にも限界その1(DSS:危機管理)

[2026.04.04]

「ドクターサポートステーション」では、日々医療機関の運営サポートを行っています。複合ビルでのテナント開業において「防災対策」は大きな課題です。内装や最新機器の導入には熱心でも、いざという時の避難経路や火災報知器の動作訓練の確認は業者任せになっているケースが非常に多く見受けられます。患者さんとスタッフの命を守るための基盤である建物管理について、現場目線での警鐘を鳴らしたいと思います。

複合ビルにおける避難経路対策の物理的な限界

複合ビルでクリニックを運営する場合、避難経路の確保には構造上の限界が付きまといます。特に築年数が経過したビルでは、現代の消防法基準には適合していても、実際の避難においては非常に使い勝手が悪い階段や通路が存在することが珍しくありません。都心部では、限られた敷地にビルが密集しているため、非常階段が急勾配であったり、通路が極端に狭かったりすることが、安全上のリスク因子(トラブルを引き起こす原因となる要素)となります。

また、他のテナントとの共用部分である廊下や階段室に、私物が放置されていることも大きな問題です。クリニックがどれだけ自院の入り口を清潔に保っていても、同じビル内の飲食店や事務所が段ボールなどを積み上げていれば、火災時の避難は阻害されてしまいます。このような周囲の環境を含めたリスクを、開業前にどれだけ厳密にチェックできるかが、その後の運営の安心感を大きく左右します。

テナント開業時に見落とされがちな防災設備と管理体制

内装工事の段階では、多くの場合、消防署への書類提出は施工業者が代行します。そのため、院長自身が自院の防火区画や排煙設備の仕組みを詳しく把握していないことが多々あります。特に「警備会社と契約しているから安心だ」という思い込みには注意が必要です。防犯センサーが機能していても、火災報知器がビル全体の管理システムとどう連動しているか、あるいはエレベーターが地震時にどの階で止まる設定なのかまで把握している方は少数派でしょう。

私たちが支援する現場では、以下のようなポイントを事前確認することを推奨しています。

  • 火災報知器の設置年数と最終点検日の確認
  • スプリンクラーや消火器の有効期限と配置場所
  • 非常用照明が停電時に確実に点灯するかどうかのテスト
  • 避難器具(救助袋など)が実際に使用可能な状態にあるか等

これらが一つでも欠けていれば、災害時の予後(その後の経過や結果)は非常に厳しいものになると言わざるを得ません。

ビルオーナーの姿勢が防災の質を左右する

建築から30年以上が経過しているビルでは、目に見えない部分での劣化が進んでいます。なかにはビル管理に費用をかけることを嫌うオーナーも存在し、入居後に火災報知器の不備が発覚したり、配管配線トラブルが発生したりすることもあります。台風による雨漏りや、エレベーターの故障などは、管理体制が脆弱である証拠です。入居前に管理会社との契約内容を精査し、被災時や故障時にどのような対応がなされるのかを「否定」(問題がないと決めつけること)せず、疑いの目を持って確認することが重要です。

 

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