開業成功と落とし穴:順調な経営の裏に潜むリスク(DSS:危機管理)
医療コラム記事:成功と落とし穴 - 順調な経営の裏に潜むリスク
順調すぎると自信過剰になり、危機察知能力が低下します。自院だけは安全安泰ということはありません。落とし穴が必ずあります。
開業初期の謙虚さを忘れない
開業後5年以内に所得が3000万円を超え、「成功した」と慢心してしまうことがあります。しかし、これから先何が起きるかわからないのに浮かれてはいけません。開業当初は、周りの意見に耳を傾け、低姿勢で患者中心の診療を心がけていたはずです。自信過剰になると患者を選別し始め、自分中心の診療に変わってしまうことがあります。
自信過剰がもたらす落とし穴
早く成功すると自信過剰になりがちです。取引業者に対し強気な態度を取り、要望を聞き入れずに取引停止をちらつかせるなど、横暴な振る舞いをしてしまうことがあります。自分の天下だと勘違いした行動が増えると、危機察知能力が低下します。
過剰な診療によるトラブル
強気な姿勢で検査や手術を勧めたり、診療報酬を上げるための診療を行うと、患者トラブルや医療ミスにつながる可能性があります。
例えば、小児科で母親に「自己負担ゼロだから」と検査を勧めたとします。その時はうまくいったように思えても、ママ友の間で「あのクリニックは儲けるために過剰な診療をしている」という噂が広がり、患者が減ってしまうことがあります。患者はきちんと評価しているのです。聞く耳を持たなければ、患者が減って初めて事の重大さに気づくでしょう。是正しようとしても、患者は簡単には戻ってきません。
患者から「要望通り診療してもらいたい」と不満をぶつけられたり、医師の指示に不満を表す患者に対し、「それなら他へ行ってもらってもいい」と言ってしまうような、患者を選別するような診療は、トラブルに発展し口コミに繋がります。
「危なかった」と反省すればまだ良いですが、「診たくない患者だった」「上手に切り抜けられた」と思うと同じことを繰り返します。普段と異なるトラブルが続いた時は自分にイエローカード、修正しなければ新たなトラブルを起こす確率は高くなります。
成功の陰で足元をすくわれるリスク
予想以上の成功で調子に乗れば、足元をすくわれます。周りの人を大切にしましょう。
スタッフへの高圧的な態度
患者が増え波に乗ると、スタッフにも厳しくなりがちです。より患者を増やすために、スタッフに能力向上を求め、思い通りに動かないと注意や叱責を繰り返すなど、パワハラ的な言動をしてしまうことがあります。「辞めたい」と言われれば、「新たに採用すればいい」と安易に考えていると、「あのクリニックはよく人が辞める」「働きにくい」という噂が広まってしまいます。
突然、「辞めさせてほしい」「明日から出勤させなくていい」などと強引な対応をすることは、明らかにパワハラです。金銭で円満解決しようとしても、「そこまで払いたくない」と減額を要求するなど、うまくいきません。スタッフの退職では、お互い事情があっても、円満退職を心がけなければ思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。
金銭での解決に頼る危険性
予想以上の成功を収めると、怖いものがなくなり、トラブルが発生することさえ考えなくなってしまうことがあります。何か起これば「お金で解決すればいい」と考えがちですが、そう簡単にはいきません。困った時ほど誰も助けてくれません。
業者との関係は、仕事を介して始まりますが、最後は人間性です。お金でつながっている間は我慢していても、見合わないことが続けば反発されることもあります。
長期的な成功のために
成功を長く続けるには、周りとの関係をどう維持していくかを考える必要があります。欲をかき過ぎれば必ず落とし穴にはまります。「自分は危機を避けることができる」「自分のために動いてくれる人がいる」「誰もが要望を聞きいれてくれる」「自分には運がある」と過信し始めると危ない兆候です。人の意見に耳を傾けることを決して忘れてはなりません。
