大きな環境変化減収は人材を見直すチャンス(DSS:危機管理)
大きな環境の変化は、単なるピンチではなく、クリニックのスタッフ定数や診療体制を根本から見直す絶好の機会です。特に予想外の減収に直面した際は、小手先の対応ではなく大胆な方向転換が必要になることもあります。
【収益改善に向けた固定費削減と屋賃減額交渉】 大幅な減収により経営が悪化した際、まず着手すべきは固定費の削減です。特にメディカルモール等の屋賃は相場よりも高く設定されているケースが多く、交渉の余地が十分にあります。ショッピングモールなどの物件では、集客という意味で賃料が上乗せされていることも少なくありません。
| 項目 | 具体的な交渉内容と事例 |
|---|---|
| 家賃減額の事例 | 開業から1年半、患者数が増えない状況に対し、1年限定で20%の減額を実施。 |
| 緊急時の対応 | 緊急事態下において、終了するまで限定で5~20%の減額交渉。 |
こうした交渉を円滑に進めるためには、日頃からオーナーと良好な関係を築いておくことが不可欠です。
【スタッフの不安に寄り添う体制づくりと人員整理 】経営状況に余裕があるうちに、スタッフに対し今後の働き方の選択肢を提示することも重要です。収入変動が激しい時期は、不安になり人の動きが活発になりやすい一方で、業務負担が軽減され離職を思いとどまるケースもあります。 特に感染症のリスクが高い時期は、スタッフの心理に大きな影響を与えました。
- 自分自身を守るための臨時休診や休業補償の打診
- 同居する高齢者や子供への感染不安による休職・退職の相談
- 家族から医療機関に従事することを反対されるケースへの対応
医療従事者としての使命感だけでなく、家族を含めたサポートを検討することが、有事の際には求められます。
【 給与水準と人員構成の最適化 】パートスタッフの中には、世帯収入を補うために働いている方も多く、勤務時間調整が退職に直結することもあります。経営を優先し、給与水準が高いスタッフに対し減収による退職勧奨を行う場合は、社会情勢や経営状態など客観的に納得できる理由があるタイミングで行うのが基本です。
【採用市場の変化を活かした優秀な人材の確保】 環境の変化は、人材採用の面で大きな追い風になることもあります。緊急事態宣言解除後、ハローワークや求人広告で募集をかけたところ、短期間で10人を超える応募が集まるケースも見られました。
| 対象 | 採用市場の変化とメリット |
|---|---|
| 看護師・事務職 | 応募者の約6割が40歳以上の経験豊富な即戦力であり、体制の刷新が可能。 |
| 医師 | 病院勤務や非常勤先の契約打ち切りにより、新たな勤務先を探す医師が増加。 |
採用までに3カ月以上を要していた地域でも、1~2カ月でスタッフ体制の刷新が可能になる場合もあります。この機会に、これまで手を付けられなかった業務の見直しやコストの高い非常勤医師の入れ替えを検討することも有効な戦略です。
【 クリニック再建のための決断 】減収が続くという厳しい局面は、クリニック全体を再構築するための大義名分となります。スタッフを納得させられる正当な理由があなら、着手しにくい人材の適正化を実行すべきです。出直すチャンスを逃さず、より強固な経営基盤を築く重い決断が必要です。
