医師の急病急逝リスクと経営状況の共有(DSS:危機管理)
クリニックを開業した際、万が一の事態に備えてパートナーと借入金や経営状況について共有しておくことは非常に重要です。院長自身の急病や急逝といったリスクは決して他人事ではありません。
医師の急病・急逝リスクと経営状況の共有
事業を開始すれば、予想外のトラブルや健康上の問題が突然降りかかる可能性があります。もし医師に不測の事態が起きた際、残された家族や取引業者に混乱や負担をかけないための事前準備が欠かせません。特に開業から年数が経過していても、数千万円単位の借入金が残っている場合は、経営状況を必ず共有しておく必要があります。
パートナーと共有しておくべき重要な経営情報
万が一の際に迅速な判断ができるよう、クリニックの資金状況や契約内容について日頃から把握しておくべき主な項目をまとめました。
| 収入・売上状況 | クリニックに毎月どの程度の診療報酬や窓口収入があるかを把握します。 |
|---|---|
| 業者支払・給与 | 医薬品や医療機器の取引業者への支払先、スタッフへの給与振込の流れを把握します。 |
| 借入金残高 | 開業資金や運転資金などの借入残高、毎月の返済額および返済期日を確認します。 |
| 税金・資金繰り | 所得税や法人税、消費税などの納税見込み額や年間の資金繰りを把握します。 |
| 保険の加入状況 | 急病や死亡時に備えた休業補償や生命保険等のカバー範囲を確認します。 |
経営状況を把握していないことで生じるリスクと実例
パートナーが経営に全く関与していない場合、不測の事態が発生した際の対応に大きな苦慮を強いられることになります。
実際に、テナント開業で成功した後に土地を購入して診療所を新築したものの、借入金返済が終わらないうちに院長が急逝された事例があります。土地評価額の下落もあり、売却しても大きなマイナスが残り、残された運転資金の借り入れや医院の清算手続きに大変な苦労を伴う結果となりました。
専門家の活用と二人三脚でのクリニック運営
診療や労務管理は院長が行い、経理業務はパートナーが担当するという分担は一般的です。未経験の場合は会計事務所や医療コンサルタントのサポートを活用しながら、徐々に資金の流れを把握していくことが推奨されます。
経営の数字は一人で抱え込まず、相互に補完し合う体制が理想的です。特に経営が黒字安定するまでは、税理士との打ち合わせには必ず二人で同席することで、多角的な視点から経営課題や改善策を見出すことができます。
