個人診療所承継に関する相談について(DSS:運営)
[2019.07.05]
【個人診療所承継に関する相談について】
非常勤で勤務している個人診療所の実質的オーナー医師より開設管理者に就任してくれないかと要望があった。そのクリニックは現在他の医師が開設管理者をしており一身上の都合により退職するという事である。現在、経営者のオーナー医師は他で個人診療所の開設管理者をしており医療法人の認可申請中である。認可がおりればこの診療所を分院として組み入れる方針だ説明があったようである。
組み入れに至るまで暫定的な方法ということでの就任要請である。相手から提出された秘密保持や基本合意書、覚書には現在の開設管理者である医師の名前は一切出て来ない。その上診療所は承継を前提すると契約書となっている。このような状況で開設管理者に就任した場合、医師には医療法上や税務上の問題も含めてどのようなリスクが発生するか考えて回答しなければならない。
下記のような問題点が考えられる。
・承継に関する合意書に現在の医師の名前は一切出て来ないが医療法上の法的問題はないか
・税務申告は個人で行う事になっているがそれに関すわるリスク何が考えられるか
・就任後診療所の経営に関る問題については一切責任を負わなくよいことになっているが
実際に何か発生した場合道義的責任も含めてそれで済むのか
・医療法人に組み入れると話しているが組み入れられなかった場合にはどうするのか
・医療法人に組み入れる場合はどの程度の期間が想定されるのか等
多くの事について検討する必要がある。
契約書等は全て相手側の顧問弁護士が作成したものであるので納得できない点やリスク等について十分確認し、安易に合意する事は避けなければならない。通常ではあまり考えられないケースの場合には先ずはどのようなリスクがあるか考えて行動しなけれならない。決して一人で判断してならないし、金銭だけでは片づけられない問題があることも理解しておく必要がある。