メディカルモール進出リスクと単独クリニックの脆弱性(DSS:危機管理)
既存の診療圏内にメディカルモールが誕生することは、単独クリニックにとって大きな脅威となります。診療圏の広い、あるいは多くの患者を抱えるクリニックほど、その影響を強く受ける可能性があるため、事前の対策が不可欠です。
メディカルモール進出によるリスクと単独クリニックの脆弱性
開発業者は、たとえ近隣に既存のクリニックがあっても、好条件の物件があれば新たなモール開発を計画します。特に影響を受けやすいのが開業10年以上の単独クリニックです。患者は、立地の良さ、駐車場の広さ、そして利便性を比較し、より通いやすい医療機関へ移動する傾向があります。
メディカルモールは、その地域に不足している診療科を中心に構成されますが、周辺のクリニックに入居の勧誘を行うこともあります。この時、現状維持を選ぶか、モールの相乗効果を狙って移転するかという判断が、将来の経営を大きく左右することもあります。
競合クリニックの進出による患者流出の実例
あるビル診(1階に整形外科、2階に消化器内科)の事例では、わずか200m先に新たなメディカルモールが誕生しました。隣接地にはスーパーがあり、眼科と内科の入居が確定。整形外科も移転を打診されましたが、これを断りました。その後の経過は以下の通りです。
| 競合の診療体制 | 夜19時までの夜間診療に加え、土曜午後も診療を実施。 |
|---|---|
| 患者サービス | 誕生日やクリスマスのプレゼント配布、高齢者へのきめ細やかな対応。 |
| 設備と評判 | 最新の治療設備を導入。口コミにより「評判の良いクリニック」として定着。 |
当初、既存の院長は自院の実績を過信し、脅威とは考えていませんでした。しかし、半年後には新患だけでなくリハビリ患者も減少。患者の流れを食い止めることができず、結果として進出からわずか2年で閉院に追い込まれました。患者は常に新しい治療と設備を求めているという事実を忘れてはなりません。
競合に打ち勝ち、経営を維持するための戦略的ステップ
競合の出現は、医師同士の診療技術、そして経営力の真剣勝負です。現状を打破し、生き残るためには以下の段階的な検討が必要です。
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現状の分析と経営判断
患者数が下降気味であれば、現状維持ではなく、相乗効果を狙ったモールへの移転も有力な選択肢となります。 -
積極的な投資の実施
競合に負けない診療環境を整えるため、最新設備の導入や内装の刷新など、新たな投資で勝負する姿勢が求められます。 -
戦略的な展開による参入阻止
地域での優位性を保つために、あえて隣駅などの近隣エリアに分院を展開し、競合の進出余地をなくす対策もあります。
最悪の事態を想定した周到な準備を
クリニックの経営を維持するためには、時に大胆な投資や戦略変更が必要です。「守り」の姿勢ばかりでは、変化する市場環境の中で取り残されてしまいます。中途半端な対応は自滅を招く恐れがあるため、常に最悪のパターンを考慮に入れ、次の一手を準備し進めておくことが重要です。
