クリニック経営で避けて通れないまさかの事態その2(DSS:危機管理)
クリニック経営で避けて通れない「まさか」の事態
クリニック経営において、安全管理と事業継続計画(BCP)を策定しておくことは、患者さんを守るだけでなく、スタッフや先生ご自身の生活を守ることにも直結します。平穏な日常の中では想像しにくいことですが、経営の現場では「こんなことはないだろう」と思うことが実際に起こるのです。
例えば、自然災害による浸水被害や、サイバー攻撃による電子カルテの停止などは、近年のクリニック経営において無視できないリスクとなっています。これらに対して、どのような具体的な対策を講じておくべきか、優先順位をつけて考えていく必要があります。
現場で実際に起こった予想外のトラブル事例
クリニックの現場では、医学書には載っていないような人間関係のトラブルや事件も発生します。これまでに私たちが経験、あるいは見聞きした予想外のトラブルには、以下のようなものがあります。
- 看護師と入院患者さんとの間での金銭貸借トラブル
- 短期間に3回も繰り返されたクリニックへの盗難被害
- スタッフ同士の不仲が原因による飲み物への異物混入事件
- クリニックの目の前で意図的にぶつかってくる「当たり屋」との遭遇
こうしたトラブルは、医師賠償責任保険の対象外となるケースがほとんどです。診療行為とは無関係なクレームや、スタッフの個人的な過失などは、別の解決手段を考えておかなければなりません。時には、法的手段や金銭的な解決が必要になる場面も出てくるでしょう。
また、外部の人間だけでなく、患者さんのご家族から予期せぬ追及を受けることもあります。「他院の先生から薬が原因だと言われた」という一言がきっかけで、受付で抗議を受けるトラブルも実際に起こっています。周囲がすべて味方とは限らないという緊張感を持つことも、危機管理の一つと言えます。
事業継続を支える資金計画と外部ネットワーク
万が一、診療が継続できなくなった場合、最後にものを言うのは手元の現金です。病気や減収によって運転資金がショートすれば、即座に閉院へと追い込まれてしまいます。テナントの退去清算やスタッフへの手当などを考慮すると、少なくとも1年分の運転資金を確保しておくことが推奨されます。
保険に加入しているからといって、100パーセント安全だとは言い切れません。例えば、水害の保険でも「床上浸水から一定の高さまで」という条件があり、わずかに届かず適用外になったケースもありました。補償内容の確認は、更新のたび入念に行う必要があるでしょう。
さらに、トラブルを収めるための相談ルートを確保しておくことも欠かせません。信頼できる弁護士や、日頃から親身になってくれる保険担当者との関係は、いざという時の大きな助けになります。事務的な対応しかしない業者ではなく、現場の苦労を理解してくれるパートナーを見つけておくことが、クリニックを守る鍵となります。
クリニックの危機管理についてのよくある質問
Q1. どのような保険から優先的に加入すべきでしょうか?
A1. まずは診療上のリスクを守る医師賠償責任保険と、建物を守る火災・損害保険です。その上で、院長先生に万が一のことがあった際の借入金対策として生命保険を検討し、余裕があれば休業補償やサイバー保険を追加していくのが一般的です。
Q2. 休業補償保険は本当に必要でしょうか?
A2. 院長先生お一人で診療されているクリニックの場合、先生が倒れると収入がゼロになります。一方で家賃や給与の支払いは続くため、固定費分だけでもカバーできる保険に入っておくことは、精神的な安定にもつながると考えられます。
Q3. トラブルが起きた際、どこに最初に相談すれば良いですか?
A3. 内容によりますが、まずは加入している保険の担当者に連絡を入れ、補償の範囲内かを確認しましょう。診療外のクレームや法的な問題であれば、医療分野に経験のある弁護士や医師協同組合、医療経営コンサルタント等へご相談いただくのがスムーズです。
Q4. 運転資金はどのくらいプールしておくべきですか?
A4. 理想としては1年分ですが、難しい場合でも最低6カ月分の固定費(給与、家賃、リース料など)は、すぐに動かせる現金として持っておくことが、危機管理の鉄則と言えます。
危機管理は「起きてから考える」のでは遅すぎます。ドクターサポートステーションは、先生が安心して診療に専念できるための防波堤としての役割です。これまで多くの「まさか」を目の当たりにしてきたからこそ、綺麗事ではない、現場目線での具体的なアドバイスができると自負しております。もし、現在の備えに不安を感じていたり、実際にトラブルに直面して一人で悩まれていたりするのであれば、ぜひ一度私たちにご相談ください。先生のクリニックを永続させるためのパートナーとして、共に最適な解決策を探っていきましょう。
